057 マスカレード

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ならず者が擦れたブーツで地面を鳴らす
歩道のまんなかを真直ぐ歩く騎士の隊列にとって
その不安定なリズムはとても居心地が悪い

ならず者はそれを見てニヤニヤ笑い、
また一度、地面を鳴らした


ならず者が誰に聞かせるでもなく口を開く
意味を生む為に詠唱を行う魔法使いにとって
その価値を携えないワードの羅列は怪訝に思え、
何も聞こえていない振りをする

ならず者はそれを見てニヤニヤ笑い
また一つ、話を作った


そんなならず者がある日
真に迫る瞳で、語り、誰もの心を揺らした

それは単なる仮面で、
それはありふれた言葉の組み合わせで、しかし
誰もがそれに気付く事はなかった

ならず者はそれを見てニヤニヤ笑うが
嘘は、誰も何も不幸にせずあるべくとして

ただ、ただ笑っているだけだった

 

 
posted by zusuyo at 00:00 | 51−75

056 収集品

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……





\\\\


??




僕はもう無い、プレゼント商人へと消えた君の収集品

 

 
posted by zusuyo at 00:00 | 51−75

055 風邪

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「今日、なんか体調悪くて仕事休んで、
 そんで暇だから狩りしてんだけどさー
 全然効率でないし、レアどころかプチレアすら一つも落ちないし
 しかも切断して戻ったらしんでるしさー
 あー、せっかく休んだのに勿体ねー


『寝てなよ

「え!? わかってくんないの!?

『いや、なにその反応


「……あーあーあーあーそっか
 こういうのも全部、風邪っていうのかもな……

『そういう事言うのは別のビョーキだよ

 

 
posted by zusuyo at 00:00 | 51−75

054 シュレディンガーの姫

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「ぁw

『ん? レベル上がった?

「ううん、別窓してたら転がってたw ねぇ起こしにきてw

『え、画面見ててよ? こんな安全地帯の無い狩場でお座りしてるんだし
 別窓してたら絶対転がるに決まってるでしょ!?


「ぇ? なんで絶対転がるの?

『いやなんでって…… 周りアクティブの敵ばっかりじゃん

「でも、あたしが別窓から戻って確認するまではさ
 転がってるかどうかってこと、ハッキリはわかんないよ?

『転がってたでしょ?

「だからー! それはあたしが確認したからだよ!

『は? 見るまでは転がってないってこと?

「違うの、転がってるあたしと転がってないあたしがいて
 ちゃんと見るまではどっちかだけとかならないの

『わけ解んない

「とにかく確認するまでは決め付けられないってこと!


『だったら最初から画面見ててよ

「ぇー暇ぢゃん;; ほら"退屈は人をころす"って言うよ?

『"無関心"もね?

「そんなのしらない><、

 

 
posted by zusuyo at 13:36 | 51−75

053 マッド

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ボルセブが危険な研究を行っているとの報告があり、
我々調査チームは、レゲンシュルム研究所へ確認を取りに向かった
 

「キヒッ……キヒヒヒッ!
 ついに、俺は悪魔を造り出してしまった……!

『ボルセブさん! 一体何の研究をしているんですか!?

「これかぁ!? 聞けェ!
 シジミ70匹分の移動力を持つ……アンバーナイトだ!

『……それは通常のアンバーナイトの何匹分ですか?

「さあな! まだシジミとしか比べとらんから判らんなぁ?

『では栄養価は?

「キヒッ! そんなものは全くのゼロ! 無だ! 無! 無!!


『そうですか ……こっちのごちゃごちゃした塊のような生物は何ですか?

「キヒヒヒヒィ! そいつはGMN-48、
 48もの身体が組み合わさった新しくもどこか懐かしいジェミニ!!

『なぜその場から動かないのですか?

「コンセプトが『会いに行ける中ボス』だからなぁ!


『この山積みになったダンボールの中身は?

「中古のラグナロクオンラインDS

『特典は使えましたか?

「使用済みだった、けど結構ハマったぞぉ! キヒッ! キヒヒッ!


『ふむ、研究費は自己負担してください


──────────


−狂気を宿したマッドサイエンティスト
 の代わりに、書類の山が無人の研究室を守っていた−

 

 
posted by zusuyo at 13:53 | 51−75

052 毎日

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幾万年先

365分の何日お祝いをして、
365分の何日お祈りをしているだろう?

チックタック鳴っている音は同じまま、
針にぶら下がる重さの失われた質量はかすかも減らないのに、
涙の数字が半分になる時間が人の寿命を越える事はない

でもね、そんな計算よりも
他人毎の他人事を持った他人や自分と、
ただたった一秒先、一緒にいるっていう口約束をしてみよう

どう?
ちょっと守ってみたくなるでしょ?


破っても、いいよ、って言ってあげてね

 

 
posted by zusuyo at 18:19 | 51−75

051 鉄板構成

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マスター「野郎供! ギルハンの時間だ、今日の狩場はガーデン! 行きたい奴は挙手しろ!」

──────────

マスター「よし、今日のメンバーはアクビ、RK、RG、連、WL、湾、民、皿、ジェネだな?」

影葱「ノ」

マスター「影葱もか」

マスター「ふむ、それなら今日は行き先をニーズ討伐に変更しよう」

影葱「任せてください」

マスター「効率を考え、構成を最小限まで減らすか…… 外されたメンバーは涙を飲んでくれ」

全員「了解です」


マスター「さてまずタゲは誰が持つ?」

影葱「抱えられます」

マスター「そうか、火力は足りているのか?」

影葱「十分な程です」

マスター「では前衛二人とレンジャーには外れてもらおう」

RK&RG&連「仕方がありません」


マスター「あとはそうだな、回復役は何人だ?」

影葱「必要ありません、吸収と少量の回復財で補えます」

マスター「ではアクビには外れてもらおう」

アクビ「仕方がありません」


マスター「大分絞られてきたな…… ならばどのような補助が必要だ?」

影葱「ブラギは効果がありません、SPも吸収できますし、脱衣もされません」

マスター「民湾、皿、ジェネには外れてもらおう」

他「仕方がありません」


マスター「そして荷物持ちの俺は……」

影葱「消耗品はほとんど使いません」

マスター「そうか、では俺も外そう」

──────────

皆「頼んだぞ影葱! 俺達の分まで頑張ってきてくれ!!」

影葱「ウォオオオオオオオ!!」



マスター「……よし、では我々はガーデンに行こう」

 

 
posted by zusuyo at 00:00 | 51−75

050 白木屋

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なあ、お前と狩るときはいつもアヌビスだな。
一番最初、お前と組んだときからそうだったよな。
俺が素騎士で、お前が時給4M稼ぐTUプリだったとき、
連れてってもらったのがアヌビスだったな。
「俺は、毎晩こういうところで狩りしてるぜ。治癒杖が余ってしょーがねーから」
お前はそういって笑ってたっけな。
俺が転生してコンセ取って時給5Mだったとき、
お前は時給7M稼ぐんだって胸を張っていたよな。
「毎日単調でレアもないけど、経験値がすごいんだ」
「狩場の他職どもにこうして辻支援してやって、お礼を言わせるんだ」
「ギルドの勇者様も、TUしている俺より時給が出ないんだぜ」
そういうことを目を輝かせて語っていたのも、アヌビスだったな。
あれからニ年たって今、こうして、たまにお前と組むときもやっぱりアヌビスだ。
あのリニューアル後、こういう低効率の狩場に行くのはお前とペアのときだけだ。
別に低効率が悪いというわけじゃないが、ここの時給は臨時の何十分の一みたいなもんだ。
レアも出ない、非生産的な作業は、溜まり場AFKをしているのと変わらないような気がしてならない。
なあ、別にスカラバガーデンでなくたっていい。
もう少しスレを見れば、こんな所でなくって、高額のレアと時給を出す狩場を
いくらでも知っているはずのレベルじゃないのか、俺たちは?
でも、今のお前を見ると、
お前が背中になびかすくしゃくしゃのモッキングマフラーを見ると、
俺はどうしても「もっといい狩場行こうぜ」って言えなくなるんだ。
お前が前のギルド追放になったの聞いたよ。お前が装備全焼したのも知ってたよ。
新しく入ったギルドで、作られて一週間程度で転生した、Lv40代の若い転生一次職の中に混じって、
公平不可な使えないイグ葉扱いされて、それでも必死に卑屈になってTU続けているのもわかってる。
だけど、もういいだろ。
ニ年前と同じアヌビスで、ニ年前と同じ、サンクを取らない理由を語らないでくれ。
そんなのは、新規鯖でダッシュしている未転生だけに許されるなぐさめなんだよ。

 

 
posted by zusuyo at 00:00 | 26−50

049 白嘘

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僕の大好きな君はネカマで、

僕の苦手な南のあいつは君の別キャラで、

僕の入っているギルドの仲間は僕の別キャラで、

僕が話し相手にしている友人はただのNPCで、

僕の溜まり場に沸くあのモンスターの群れは君が折る枝のせいで、

僕が貰ってドキドキした指輪はタイリギ・ノピティギ・バックステップが出まくる君の罠で、

僕がコメントをつけた日記は君の幸せな嘘で、


僕は僕の大好きな君がネカマであっても

僕は君が大好きなまま変わらない

 

 
posted by zusuyo at 00:00 | 26−50

048 慈悲

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今私の目の前で、
大量のブラディウムゴーレムを連れて歩いているあの人
一見すると、引き狩りをしているように見えるのだが

SPは尽き、HPもぎりぎりなうえに、
回復財を全て使い果たしているのかもしれない
さらにハエや蝶を忘れてしまい
やっとの思いで稼いだ経験値を、ただ、ただ守り通すことだけを考え
声出せぬ程の恐怖に駆られて走る足がもつれそうになりながらも、
命からがら隣のMAPまで逃げているのではないか

そう思うと自然に私の手は、
彼の引き連れているゴーレムを一心不乱にクリックしてしまうのだった


「あの、横殴りしないでください

「はぁ? 死ねよ引き狩り野郎

 

 
posted by zusuyo at 00:00 | 26−50